香川にも及ぶ「やまじ風」の影響 | |||||||||||||||||||
「やまじ風」は,愛媛県東部の瀬戸内海沿岸部(図1)で発生する南よりの暴風で,広戸風(岡山県)・清川ダシ(山形県)とともに,日本三大局地風の一つに数えられている。やまじ風は,標高 1500m級の山々が東西に連なる法皇山脈の斜面を瀬戸内海側に向かって流れ下るおろし風の一種である(図2)。やまじ風は,低気圧が日本海を通過する場合に多く発生し,年間に10数回程度発生する。やまじ風は瞬間風速が40m/sを超えるような場合もあり,昔から建造物や農作物に大きな影響を与えてきた。最近でも,電柱の倒壊などの災害が報じられている。 やまじ風の影響は,愛媛県にとどまらず,香川県にまで及ぶことがある。その例として2003年4月29-30日に発生したやまじ風について紹介する。このやまじ風は4月29日21時~4月30日1時ころが最盛期で,4月29日21時の地上天気図を図3に示すように,温帯低気圧が朝鮮半島南部を通過し,日本海を進む時に発生した。30日01時には愛媛県の四国中央市では図4に示すように,平均風速10~15m/sの強いやまじ風が吹いていた。このときの四国全域における風と気温の分布を図5に示す。やまじ風はフェーン現象を伴うが,その影響が香川県にも及んでいる。風は四国中央市で強いが,香川県の西部から中央部にもやまじ風の影響と思われる風が吹いている。このように,気温の上昇を伴う南よりの風が愛媛県東部から香川県の西部,中部の広い範囲にまで及んでいることが分かる。
|
|||||||||||||||||||
![]() |
紀井伸章,寺尾 徹,松村雅文 (香川大学大学院教育学研究科) |
![]() |