里山のほ乳類
 香川県では、野生化したイヌやネコをのぞいて、34種の哺乳類(ほにゅうるい)が生息しているといわれています。哺乳類は夜行性のものが多く、普段は目につきませんが、そのほとんどは里山に生息しています。最近、野生動物が全国的に増加しているといわれていますが、 
香川県でも例外ではありません。環境省は2003年に中型哺乳類の
分布調査を行い、1978年に行った調査と比較しています。その結果を表1にしめしました。ここで区画というのは2万5千分の1地形図を縦横それぞれ2等分した地域をしめしています。いずれの哺乳類も1978年にくらべて2003年には大幅に生息区画数が増加していることがわかります。
 生息数の増加にともなって、ニホンザルやイノシシによる農作物被害が問題になりますが、いっぽうで交通事故による動物側の被害も問題となります。香川大学教育学部の卒業生の川口さんと滝さんの調査(川口・滝、2000)によると、香川県東部では1996年から1999年の4年間で、5種61頭の中型哺乳類の交通事故死体が採集されています。特に多くの死体が採集されたタヌキの採集地点を図1にしめしました。山林に接した道路で、多く採集されていることがわかります。


表1 香川県における中大型ほ乳類の生息区画数の変化
種名 総区画数 生息区画数 2003年
および
1978年
2003年
(2003年のみ)
1978年
(1978年のみ)
ニホンジカ 135 47 (27) 29 (9) 20
ニホンザル 135 27 (15) 16 (4) 12
イノシシ 135 59 (53) 6 (0) 6
キツネ 135 67 (37) 35 (5) 30
タヌキ 135 99 (34) 67 (2) 65
アナグマ 135 38 (19) 25 (6) 19

表2 香川県東部で採集された中型ほ乳類の交通事故死数
種名 性別 不明
ニホンジカ 18 13 4
ニホンザル 7 2 2
イノシシ 3 3 3
キツネ 5 0 0
タヌキ 1 0 0
アナグマ 34 18 9
図1 交通事故にあったタヌキの死体の採集地点(川口・滝2000)

末廣喜代一(香川大学教育学部)